校長日記

独り言 4

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2021年12月23日

前回の独り言で「創造的な遊び」と書いていましたが、本当に子どもの遊びは様々ですよね。子ども達と遊んでいるとそれぞれに意味があるなーと教えられますが、今回は遊びの意味について考えてみたいなと思います。それぞれが要素が入り組んでいるので、完全に区別出来るものではないし、区別する必要もないんですけれど。(じゃあやるなよっていうね…笑)

嘉成永慈の勝手に考えた遊びの種類
①生活の遊び
②ゲームの遊び
③表現する遊び
④想像的な遊び
⑤創造的な遊び       です。

まずは①生活の遊びについて勝手に考えていきます。
1歳から子達もしている誰でもしたことのある遊びは、おままごとです。これこそ総合的な遊びで①〜⑤まで全部入っているのですが、あえて①としてみます。
幼児期にたくさんしてもらいたい遊びですね。というのも、最近よく自立と自律について考えているのです。自立にもいろいろ要素があると思います。精神的自立、経済的自立、そして生活的な自立があると思っています。
生活的自立とは、生活を自分の力でできますか?ということです。基本的に日本では電気を使わない生活はありえません。みんな電気に依存しているので、そもそも自立が難しいところです。でも、この部分が人間に与えている影響はとても大きいと思います。生きることは生活です。サバイバルをして生きてほしいわけではないですが、自給自足が出来る程の生活力(勝手に考えた言葉です)は人を育てるうえでとても大事な能力です。
話がずれてしまいましたが、子ども達は「どう生きたらいいのか?」それを貪欲に学ぼうと遊んでいるので、生きるためにもっとも必要な遊びはおままごとだと思っています。
おままごとの先には、自然組のお祭りや里組の畑仕事、深山組のキャンプ(人工物のない場所での生活)という遊びがあります。まさに生活力ですね。笑

次に②ゲームの遊びです。
マザーテレサの残した言葉の中に、「人生とはゲームです。それを楽しみなさい。」という言葉があります。ゲームの本質は、攻略することだと思います。人生という大きな問題を攻略したいのは人間の本能でしょうね。
野外で遊ぶことにおいて安全管理は基本です。その中でも危険を回避することと、危険を攻略することはまるで意味が違います。
以前深山組でキャンプに行った時、高校の登山部の子達がクライミングの練習を川でしていました。
上に登るのではなく水面スレスレを横に移動していたのですが、ちゃんと攻略できたのは20人くらいのうち1人だけ。あとは川に落ちてました。それを見た子ども達は「やってみたい!」と挑戦しました。なんとほとんどの子が川に落ちずにゴールしました。遊びの中で「どう体を動かせばいいか?」を攻略した経験値が深山組の子達の方が多かったのですね。高校生達も顧問の先生も驚いて笑っていました。
ゲームというとテレビゲームが思い浮かぶかと思いますが、それももちろん攻略です。攻略する思考力は育つと思います。ですが頭で理解できたから、体が動くかというと別のことですね。(頭でっかちの口だけ男を育てたいならテレビゲームがおすすめです。笑)
子ども達は誰でも攻略したいという願望を持っています。だからみんな、なぞなぞから野球、射的やコマ回しなど様々なゲームが大好きですよね。体は子どもだけど頭脳は大人の人みたいに事件を解決することに憧れる気持ちもよくわかります。そんなに事件が頻繁にあっては困りますが、ルールや法則などを理解して攻略するところが魅力ですね。ゲームは問題を自分で作れるとなお楽しいです。
仕事で何か解決しなければいけない事があった時、そのゲーム感覚がそのまま活きてきます。

③表現する遊び
表現というと、歌や絵あとは工作などの作り物がポピュラーだと思います。
自然組では小杉さん(まきまき)がいつも素敵なものを子ども達と作ってくれています。
こども園での研修もよく絵を描いて自分を表現するのですが、それが中々難しいんです。僕にとっては自分を表現するって大変なことなのですが、子ども達は楽しんでそれをしていますね。尊敬します。
保育のいわゆる表現活動は、どんな時でも繰り返してすることで技術が身に付き表現することに自信がつきますね。たくさんしてほしい遊びです。僕が特に大事にしたい自分を表現するという意味では、1月がポイントになってきます。というのも、春から夏にかけて体をよく動かして遊びます。まさにグングンと伸びる時期ですね。ですが、子ども達の心の動きを見ていると6月「自分」という枠の外に向いていた意識が、7月8月とだんだん内向きに「自分」の中に向いてきます。自分の感覚を養っているように思っています。それがまた1月に心はまた自分の内側を向いてきます。まるで1学期の復習をしているかのようです。
日本には冬があります。冬の中でも1月の雰囲気は独特ですよね。12月の慌ただしい雰囲気とは違いちょっと寂しい感じがします。雪の積もったシーンとしている中ただ歩いているだけでも息が上がり、心臓の鼓動を強く感じます。周りの環境とのギャップがあるせいか自分の内側に意識が向きやすくなっているのかわかりませんが、その感覚が物作りの感覚ととても似ていると思っています。
1月、子ども達は自分の中の何かを発酵させるように、見た目には静かに、でも内側では激しく自分を新たに構築しているように動きながら、物作りに没頭しています。

④想像的な遊び
ごっこ遊びや一人遊びなどがそれにあたると思います。ごっこ遊びは表現の要素もだいぶ入ってくるとは思いますが。これまで年長児といろんなことをして遊んできましたが、保育のちょっとした合間に「遊んでおいでー」と言うと、大体ごっこ遊びとおままごとをしています。何者かになりきる遊びは一体どんな良いことがあるのでしょうか?こども園では、ページェントを終えるとぐっと子ども達の人格の輪郭がはっきりとしてきます。シェイクスピアは「人生という舞台では誰しもが何かしらの役を演じなければならない」と言っていますが、確かに人にはみんな与えられた役割があると思います。その役になりきることは、自分の人格に強い影響を与えると思います。
年長児にも自分の世界観を強く持った子が毎年一人はいます。全体での活動をしたい時には、なかなか手強い相手なのですが、その子の「やりたい」とみんなの「困った」が合わさった時凄い力を発揮します。想像力は自分の世界をより深くしてくれる大事な力ですが、周りの子達が見えなくなる時も多々ありますよね。でも子どものうちはそれで良いと思います。
時に大人を困らせるその想像力豊かな子のもう一つの強みが集中力です。想像力は集中力と密接な繋がりがあります。集中とは何に時間を使うか?という選択だとか、才能とは集中する量と質の違いだとか色んな人が集中力について研究をしていますが、没頭する程の「やりたい」「なりたい」気持ちがごっこ遊びに詰まっています。そして「想像」が「表現」できた時「創造」に変わっていきます。

⑤創造的な遊び
最後は創造的な遊びです。「創造的=新しいものを自分の考えや技術などで初めてつくりだすさま」ということだそうです。細かく読んでいきましょう。
新しいものとは世の中になかったということではなく、その場(自分や周りの友達などの環境)になかった新しいもののことですね。それを自分の考えや技術などで初めてつくることだということです。
ここが面白いのですが、自分の考えとはどうやって持てるのでしょうか?それが想豫的な遊びで培われていくのだと思っています。人は影響されながら関わっていく生き物なので、良くも悪くも他人から影響されない自分を持つことは不可能です。ですが、他人から干渉されない「自分の世界」は自分の考えや思いを深めてくれます。
逆に、技術とは倣う(習う)ものです。生活の技(生活の遊び)や遊びの技(表現する遊びやゲームの遊び)などたくさんの人と関わることでその技術が受け継がれていきます。自分の考え(自分の世界)✖️自分の技術(他人から倣ったもの)=新しいもの。という化学変化みたいなことなのだと思います。考えと技術を掛け合わせるには閃きが必要ですが、遊びの中にはその閃くために必要な余白がたくさん溢れています。
創造的な遊びは、今まで育ってきた自分を違う姿に変えてしまうような変化(成長)を与えてくれる遊びです。ですが、これが創造的かどうか他人が判断することではないですし、じっくり時間をかけて遊び込んだ先にあるものだと思います。創造的な人の背景にはこういった莫大な時間の遊びがあるんでしょうね。

そんなわけで、子どものする遊びにはどれも素敵な意味があります。子ども達をたくさん遊ばせてあげてください。

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嘉成永慈
しぜん学校校長

子どもたちが自ら育っていく様子を、しぜん学校スタッフはご家族の皆さんと一緒に見守らせていただきたいと思っています。送迎時にはできるだけたくさん保護者の方に活動時のそれぞれのお子さまの様子をお伝えできればと思っておりますが、なかなか全ての方にお話しすることができません。保護者の方からも、気になることや、ご家庭での様子でお伝えいただけることがありましたら、ご遠慮なくぜひスタッフにお声かけください。また平日の保護者の方との作業は、スタッフとの交流や情報交換の場とも考えております。しぜん学校とご家庭や学校での様子を、ぜひ多く共有できますように。